PowerShell 7

はじめに

PowerShell 7 は、Microsoft が開発したクロスプラットフォーム対応のシェル兼スクリプト言語です。従来の Windows PowerShell（5.1）とは異なり、.NET Core（現在 ¹ は .NET 8/9）をベースにしており、Windows、Linux、macOS で動作します。

PowerShell 7 は 5.1 と比較して多くの改善点があります。

• クロスプラットフォーム対応
  Windows 以外の OS でも動作
• パフォーマンスの向上
  大量データ処理の高速化 ²
• 新しい言語機能
  • ForEach-Object -Parallel による並列処理に対応
  • 三項演算子: $condition ? $true : $false の構文をサポート
  • Null 条件演算子: ?.、Null 合体演算子: ?? 演算子の追加

C# でよく使う三項演算子や Null 条件演算子に対応したので、 よりコンパクトなスクリプトを書きやすくなっています。
.NET 8 にも対応していますので、遅ればせながら私の端末にもインストールしてみることにしました。

PowerShell 7 のインストール

PowerShell 7 のインストールには winget ³ を使用します。

winget install --id Microsoft.PowerShell --source winget

インストールは以上で完了です。
PowerShell を起動して、バージョンを確認してみましょう。

PS C:\hoge> $PSVersionTable.PSVersion

Major  Minor  Build  Revision
-----  -----  -----  --------
5      1      26100  6584

あれ？おかしいですね(;^_^A
実は PowerShell 7 は Windows PowerShell 5.1 とは別アプリケーションとしてインストールされます。つまり、インストールしても元から入っていた PowerShell（powershell.exe）は 5.1 のままで変わりません。 PowerShell 7 は pwsh.exe という名前でインストールされ、通常は以下のパスに配置されます：

C:\Program Files\PowerShell\7\pwsh.exe

PowerShell 5.1 と 7.x のインストールパスの違いは以下になります。

以降では、PowerShell 7 を実行する方法について説明していきます。

PowerShell 7 を起動する方法

PowerShell 7 を直接起動する

• スタートメニューで「PowerShell 7」または「pwsh」と検索して実行
• Win + R → pwsh と入力して実行
• コマンドプロンプト、PowerShell のプロンプトで pwsh と入力して実行

ターミナル（Windows Terminal）の設定を変更する

ターミナルの 既定のプロファイル を変更することで、ターミナル起動時に自動的に PowerShell 7 を起動するように設定できます。

Visual Studio Code で実行する PowerShell を 7 にする

Visual Studio Code のターミナルで実行する PowerShell を PowerShell 7 に変更するには以下の手順を行います。

1. PowerShell 拡張機能（@microsoft.com）をインストール
2. Ctrl + Shift + P > Preferences: Open User Settings (JSON) でユーザー設定ファイルを開く
3. 設定ファイルの末尾に以下を追記して保存

    "terminal.integrated.profiles.windows": {
        "PowerShell 7": {
            "path": "C:\\Program Files\\PowerShell\\7\\pwsh.exe"
        }
    },
    "terminal.integrated.defaultProfile.windows": "PowerShell 7"

4. ターミナルを起動して確認
   ターミナルの起動時に右上に pwsh と表示されれば、変更は適用されています。
   念のために $PSVersionTable.PSVersion でバージョンを確認してみましょう。 図5

Visual Studio Code 向けの設定は以上です。

Visual Studio 2022 で実行する PowerShell を 7 にする

Visual Studio 2022 で実行する PowerShell のバージョンを 7 にするにはオプションから設定を変更します。
ツール > オプション > 環境 > ターミナル > 開発者用 PowerShell
「シェルの場所」を

C:\WINDOWS\system32\WindowsPowerShell\v1.0\powershell.exe

から

C:\Program Files\PowerShell\7\pwsh.exe

に変更します（図6）。

図6 オプション

Linux（WSL）で PowerShell 7 を使用する

PowerShell 7 はクロスプラットフォームに対応しています。
WSL（Ubuntu Linux）環境で PowerShell 7 を動かしてみましょう。

インストール

$ lsb_release -a
No LSB modules are available.
Distributor ID: Ubuntu
Description:    Ubuntu 22.04.3 LTS
Release:        22.04
Codename:       jammy

wget https://packages.microsoft.com/config/ubuntu/22.04/packages-microsoft-prod.deb -O packages-microsoft-prod.deb
sudo dpkg -i packages-microsoft-prod.deb
sudo apt-get update

sudo apt-get install -y powershell

PowerShell 7 の実行

Windows 版と同じく実行形式ファイルの名前は pwsh です。

pwsh

$ pwsh
PowerShell 7.5.3
PS /mnt/c/hoge>

PowerShell が起動しました。 起動時にバージョン番号は表示されていますが、改めてコマンドレットでバージョンを確認してみましょう。

PS /mnt/c/hoge> $PSVersionTable.PSVersion

Major  Minor  Patch  PreReleaseLabel BuildLabel
-----  -----  -----  --------------- ----------
7      5      3

表示されました。
Windows 版と同様にコマンドレットの自動補完も動作します。

まとめ

PowerShell 7 の紹介から、インストール方法、Windows のターミナルや Visual Studio Code の PowerShell を 7 に変更する手順などを紹介してきました。Linux でも使用できますので、シェルスクリプトは PowerShell で統一、というのも一つの選択肢になりそうです。

参考資料

PowerShell とは - PowerShell | Microsoft Learn